先日、某上場企業の代表取締役社長(以下A氏)の講演を拝聴する機会があった。内容としては学生時代や創業期のエピソードであったりこれからの企業の指針についてのお話だったのだけど、気になった点がひとつあった。なんでもA氏の企業は、商圏となる国内の主要な都市において一通り展開したことにより、これ以上店舗を増やすのはブランド維持にはそぐわず、これからは経営の重点をアジアへの進出に置くことに決めたらしい。そしてまず第一歩として、A氏自ら香港への移住を決めたのだという。
別に中国とかアジアに進出するのに移住までしなくてもいいじゃないの?という疑問もあったのだけれども詳しくは語らなかった。時間が足らず質問タイムもなかった、なんということでしょう。ただこの事実からわかることは、A氏は日本人として生きるよりも、アジア人として、そして商売人として生きることを選んだということだ。
この事実に対して、人それぞれ思うことは違うと思う。例えば私なんかはそういう行動力を感じさせるスケールのでかい話を聞くとすごいなぁと思ってしまう。SNSなどで見かけたらすぐさま「イイネ!」ボタンを押すことだろう。また、株を買ったりするのが好きなので、上場してるんならこれから株価をチェックしてみようと思い、チェックリストに入れたくらいだ。ただ、私のような意見が全てじゃないだろう。お年寄りの方の中なら「日本から出ていくとはけしからん!」みたいな意見もあるかもしれないし、ソフトバンクの孫さんに対していまだに人種差別的な発言を投げかける2ちゃんねらーの口からならもっとひどい言葉が出てもおかしくはない。
最近、似たような話をWeb上で見かけることが増えたような気がする。↓とか。
日本を脱出する企業家たち – さまざまなめりっと
私がTwitterをやっていて特におもしろいな、と思うことの一つが日本に住んでない人のつぶやきが読めることだ。私は割と内向きの人間なので海外在住の友人というのはそう多くない。なので私は海外に住んでる方っていうのを割と積極的にフォローしている。アメリカ在住の留学生とか、在タイの方とか。そうしているうちにそういった人達とコミュニケーションがとれたり、情報をもらえたりできるっていうのは素晴らしいと思う。上記のリンクは海外に出て行く人達と親交の深い方のつぶやきのまとめだけれどもこれもまた自分が接触できないような人達の話なので勉強になる。
で、探すと海外在住で日本語でつぶやいている方というのは割といるものだ。もちろん英語でつぶやいてる方もいるのだろうけれどもそれはあまり見つけれてないかな。
彼ら彼女らを見ていて、日本人ってなんだろうってことを考えてしまう。
日本で働いていたら日本人?
日本に納税していたら日本人?
日本語で物事を考えていたら日本人?
国籍があれば日本人?
日本を愛していたら日本人?
どれだろう。
と、ここまで書いてきて思ったのだけど考えすぎかもしれないな。おそらくこれは歴史が長く、移民を多く受け入れなかった国特有の症状だ。「日本人」という言葉を日本という国の全ての文化、歴史の結晶、くらいに考えてしまう。これは中韓仏あたりも同じような感覚があるんじゃないか。そういえばシンガポール大学の学生の女の子と話した時、アメリカに行くつもりなの、と言っていた。シンガポールはつまらないからシンガポールの学生は結構皆アメリカなどに行くそうだ。そう、彼女のような人にとっては「シンガポール人」なんて言葉は「シンガポールに住んでいる人」位の意味しかないんだろう。そして「アメリカに行く」というのも「上京する」位の意味なのだ。
私の友達の中には在日韓国人や、中国系のクウォーター、アメリカ系のクウォーターもいる。私はたまたま純度100%の日本人だけれどそういう人もいなくなっていくんだろうな。
これから国と国の境目がとても薄く、曖昧なものになっていく気がする。それは「ちょっと札幌に出張行ってきマース」位の感覚でインドに行くような事を意味する。私も「昔関西に住んでたんすよー」という感覚で「昔はアジアにいたんすよ」と言う日がくるのかもしれない。
これからは、「私は〜人です」と自己紹介するのもナンセンスになる時代になるのかもしれないなぁ。
私は日本が嫌いで、出て行きたいわけでもない。ただ、日本にいる必要性もない時代なのかもなぁって気はしてる。
今年大学を卒業した学生のうち10万人くらいはフリーターになったらしい。本当にこの調査が就職できないような困ったちゃんの数を正確に把握できてるのかは疑問だけれども。
10年卒の大学生13万人が就職できない 学生はブラック企業の情報収集に躍起 働くモノニュース : 人生VIP職人ブログwww
今この国はこんな感じだ。もちろん諸外国でも若者の扱いはさして変わらないけれど。アメリカの新卒就職率は3割くらいだったかな。
なんにせよ、自分に合った、住みやすい場所に住めるような準備はしておきたいなとは思っている。
私はこのブログを読んでくれている同世代の若者達にすごく聞いてみたいことがある。「どの段階までいったら日本で生きることを諦めますか?」ちなみに私の周りの人達はそんなことを考えたこともないみたい。
来るべき時代に備えて、私が今するべきことはできるだけ早く a good English speaker になることと、世界に出れるモノを身につけることなんだと思う。A氏が商売を選んだように、私もまた“Make the world a better place” できる何かを。